新型肺炎後を考える(1)終息はどうなる?

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靖国神社境内にあるソメイヨシノ開花判断の基準樹です。3月12日撮影。

今年は暖かい日が続き、桜の開花も例年以上の速さで見ることができそうです。上の写真は、靖国神社の開花標本木ですが、撮影当日も蕾から花が飛び出しそうな感じでした。一両日中には東京では開花宣言がなされるとみていましたが、本日(14日)は寒い霙まじりに天気になったにも関わらず、開花基準となる五輪以上が開花という開花基準を満たし、開花宣言がなされました。昨年より7日、観測史上も最も早い開花となりました。

しかし世の中では新型コロナ肺炎の感染勢いが止まらず、ほぼ全世界に亘って拡がっています。株価も急落し、経済の先行きを不安視する声も強くなっており、桜の開花とは真逆で雰囲気が重苦しくなっています。

発生元の中国では毎日の新規感染者数が一桁になり、国家衛生健康委員会の報道官が12日、「中国での流行のピークは過ぎた」(日本経済新聞2020年3月12日付朝刊9面)と述べ、制圧に自信を示しています。一方、欧州、米国等では増加が止まりませんが、米国ではトランプ大統領が国家非常事態宣言を13日に出し、新型コロナウィルス感染拡大への対応を強力に推進しようとしています。世界各国で感染対策のステージを一段上げる取組が見られます。

このような中ですが、先行きに希望を持ちたいという観点から、果たして今回の新型肺炎はいつ終息に向かうのかということを考えてみたいと思います。但し、私は専門家ではありませんので、あくまでも素人の戯言とお受け留め願えればと思います。

最初に過去世界的なパンデミックと称された事例を振り返ることとします。

⬜︎  14世紀のペスト大流行(1348〜1400)

ペストはペスト菌による感染症です。もともとネズミに流行する病気ですが、ノミなどを通じてヒトに感染すると言われています。漢字ではやまいだれに鼠と書いた「癙」で表します。ペストは6世紀東ローマ帝国で流行して以降、20世紀まで世界的に何度か流行していますが、最も大規模なものは1348年から1400年にかけ、ヨーロッパ大陸を中心に大発生したものです。当時の世界人口が4億5千万人から3億5千万人に減少したと言われています。その発端は中国大陸で発生し、シルクロードを通じてヨーロッパに伝播したものと見られています。何故中国大陸からヨーロッパへ拡がったのかということについては、元の領土拡大が東から西への交易ルートの拡大を促し、東と西が地政的に繋がったことを要因とする見方があります。

ペスト菌は1894年に北里柴三郎によって発見されました。これによって抗生物質が開発され、現代のペストの致死率は激減しました。

⬜︎  スペイン風邪(1918〜1919)

インフルエンザの一種であるスペイン風邪は、1918年アメリカで流行し始め、感染者は当時の世界人口20億人の3割である6億人、死亡者は5,000万人以上とされています。日本でも40万人近くが死亡しました。ウィルスはこれまでになかったものであり、免疫抗体を持っていなかったので新型感染症として一気に流行しました。加えて第一次世界大戦が勃発し、ヨーロッパが主戦場となったことで人の移動が多かったということも、大流行の要因として挙げられています。また、ヒトインフルエンザウィルスの発見前(発見は1933年)であった為、ワクチン、抗インフル薬がなく、対処療法と集団免疫の獲得しかなかったことが大規模な感染者、死者に結びついたものと考えられます。

⬜︎  アジア風邪(1957〜1958)と香港風邪(1968〜1969)

アジア風邪は、1957年中国貴州で発生し、全世界に拡がったもので200万人が死亡したと言われています。日本でも100万人以上が感染し、6,000人が死亡したと見られています。この風邪もインフルエンザウィルスが変異した亜種です。

香港風邪は1968年に香港で流行が始まったもので、アジア中心に拡がり、その後、ヨーロッパ、アメリカへも伝播しました。世界の死亡者は50万人以上で、日本でも14万人が感染し、2,000人以上が死亡しました。アジア風邪のウィルスは、H2N2亜型で、香港風邪のウィルスはH3N2型ですが、半分のN2を共有しているので、アジア風邪ワクチンの有効性がある程度認められたという説があります。

⬜︎  新型インフルエンザ2009(2009/3〜2010/8)

2009年3月、メキシコで発症事例が報告され、2010年8月にWHOによる世界的大流行の終息宣言がなされるまで、全世界の214ケ国で感染が確認され、18,000人あまりが死亡しました。2010年から2011年にかけてワクチンが開発されています。

 

■  今後の終息を見込むことができるのか

過去パンデミックになった上記例を踏まえながら、素人判断ではありますが、今後の終息について考えてみたいと思います。

下記表は、新規感染の発生者数(日毎)を表したものです。1月20日前に報告されたものが、2月上旬から中旬にかけて中国では増加をしましたが、2月20日前後から減少に入り、代わって中国以外での感染者が増えています。これを見ると今回の新型コロナ肺炎は、中国乃至東アジア地区での封じ込めができず、西の中近東、欧州、東の米国への波及が第二波として進んだことが理解できます。問題は中国で抑え込みが為されたとしても、その他世界ではいつ終息に向かうことができるのかということです。

中国では、1月23日におよそ人口5000万人の武漢市を封鎖するといった強硬手段をとりました。このことが全体を終息状況に向かわせしめたという判断は、これからの検証に委ねられることとなります。

一方、中国における感染者、死亡者の発生は、広東省浙江省北京市上海市等でみられますが、大半は武漢湖北省におけるものです。湖北省の人口は約6000万人です。移動人口を含めた感染リスク対象者がどの程度だったのか判断することはできませんが、発生状況を見るに、中国の全体人口である13億人を対象とすることはできないでしょう。根拠のない勘ですが、2億人ぐらいかなと勝手に考えております。

一方、感染拡大が続く欧州の人口は約5億人です(2018年、イギリス含む)。この内、現在感染者数の多いイタリア、スペイン、フランス、ドイツの4ヶ国人口は約2.5億人になります。この他、米国、イラン、韓国の発生者も多いことから、中国よりも中国以外の発生者リスク数は多いものと考えております。

有効なワクチンも開発されていない現状では、集団感染による抗体獲得を待つしかないのかもしれません。

 

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世界全体の新規の感染者数(日本経済新聞 2020年3月13日付朝刊2面)

中国では、新規発生者の山はおよそ3ヶ月を経過したものとみられます。このことを参考に中国以外の国における感染者発生は、今後どの程度継続するのかを判断することはできませんが、WHOがパンデミック宣言をしたことによるウィルス開発の促進化、各国の防疫体制の強化・拡充、個人ベースの防疫意識の高まりなどを考えると、過去のパンデミックと同じように、向後一年以上要すると考えることはできないのではと思います。

個人的な強い希望的観測で申し上げると、本年夏、7、8月頃までには終息の見通しが立ってくるのではないかと勝手に考えています(そうあってほしいという願望を含んでいます)。

今回の新型コロナ肺炎は、陽性者の80%が軽症で治癒すると言われています。潜伏期間がありますので、感染初期は急速に感染者が増えます。陽性者であっても人への感染を発しない例もあるので、やがて感染者数は減少してゆきます。加えて有効な医療手立てがなされるとすれば、今回の新型コロナ肺炎の終息が見えてくると思います。

このようなことから、先行きに対しては少しでも希望を持ってゆきたいと考えております。

 

なお、今回の見解はあくまでも科学的知見に基づかない個人的意見です。この点のご理解をいただきたいと思います。

 

shumaishunchan